観念した

ブログ作るつもりなかったんだよ。ほんとうだよ。

「氷の中のボールを取り出せ」ゲームがゲームとして成立してなかった理由とその意図の一考察

これ描き終わらんくてグダグダしてる内に最適解というか氷柱企画のダメなところ全部カバーした完璧アンサーみたいな企画(うるおい祭り)が投稿されたのでもうこれでええやんけわたしのブログ見るよりうるおい祭りを見てください。おわり。でいい気がしてしたんですけどまあわたしが始めたことなのでとりあえず書き上げます!!!

 

youtu.be

うるおい祭りみんな見てね!!!!!!!!!!これ本当に良かったので!!当たり前だがめちゃくちゃ伸びとる。1日で先週の企画の再生回数既に超えとる。えげつな。元々サムネちゃんとしてる回は伸びが良かったしサムネがいい回はだいたい企画も編集も良い方なのでさらに伸びるんだけどよ。

 

↓ほんへ↓

 


構成の話が書き上がりませんというかそもそも私は構成について書くには知識やら何やらが足りなさすぎるんだと思うが書きたいので書いている。完成したら奇跡が起きたと言祝ごうと思います。

というわけでサムネの話に引き続き、要素を小分けにしてやっつけていく方式をとります。

 

今回は「氷の中のボールを取り出せ!」という対決ゲームの、いわゆるゲーム性について考えていきたいと思います。

 

またこのゲームはそもそも何がしたかったのか、と言う側面から「この企画はそもそも何がしたかったのか」を捉え、それは結果的に動画におけるどう言う作用に繋がったのか分析…できてたら良いな…専門外なので今回はあまり自信がない。
専門の方いたらお話を聞きたいです

 

書いてて思ったけど「氷の中のボールを取り出せ!」、すごい虚無なゲームだなこれ…文章書きながら「穴掘って埋める作業」と言う言葉が頭をグルグルしました。賽の河原か?


これを面白いと思えない人がいたとして、それは妥当であろうな、と言えるだけの要因があり、それは個々人の好みの話でしょで片付けるのは理不尽だよな…と言う話がしたくてこんな文章をまとめています。
いやまあ好みもあるけど、そもそもこのゲームで誰かを楽しませようとしてはいなかったんじゃないかって話をします。


結論を先に言うと、これはまともなゲームとして成り立ってません。
しかしおそらく制作側は意図してわざと「ゲームとして成り立ってないゲーム」を用意したんだと思います。


なぜなら撮りたいのは「ゲームしてる侍」ではなく、「理不尽な目に遭う侍」だったから。

 

んでそれに対して視聴者の反応がいまいちだった(だって例えば「籠担いで猛暑の中歩け」とか「長い階段を歩け」とかだって理不尽と言えば理不尽です)のは多分複数の要因があって、

それが例えば安全性の問題だったり、

※過去記事リンク

gudagudasan.hatenablog.com

 

他にも動画内にフォローがなかったとか、そもそもドッキリの後だったとか(ネガティブなドッキリやって理不尽ゲームやってネガティブなドッキリで〆たので、見てる側の感情の持って行き場がない)、「それでも楽しかったと言える何か」がなかったから、とか、シンプルにクオリティの問題とか、

 

らへんの問題の合わせ技だったのではないかと考えられます。この辺は今回の記事ではなく、構成の記事かドッキリの記事になるかなと思う。

 


という風に推測し、その根拠をつらつら書いていこうと思います。

そしてそれはメンバーたちの頑張りを否定するものではありません。

 


このゲームのルール聞いて前向きに捉えようとしたこんぴー、えらいね…。こんぴーはなんだかんだ深夜バラエティ適正が高いよな。それを活かせる編集をしてくれ。

 

 

ゲームのルール

 


まず、ゲームのルールを確認しましょう。

 

 ・2チームに分かれ氷の中のボールを取り出すゲーム
 ・氷を溶かすのに使うのは己の体のみ!
 ・先に取り出したチームが勝利となる
そして途中でミニゲームがあり、勝利するとアイテムが手に入ることが補足されます。

 

何から突っ込めばいいのかわかりませんが、どこをどうすればこのゲームを面白いと思ったのかが分からねえ。書くのやめていいか(大の字)(やります)(やるったらやる)

 

…最初にも書きましたが、動画を分析していくと、おそらく企画した人はゲームそのものの面白さっつーか「ゲームとして成り立っているか」を考えるよりも、「メンバーが罰ゲームめいたことをやっている」という絵面そのものを「面白いコンテンツ」と捉えてそちらを優先している節があり、ゲーム性に関してハナから優先度が低い…というか、「別にゲームとして成立している必要はない」と思っていたのでは?と推測されます。

 

または、他のYouTuberたちが類似企画、いわゆる「巨大氷企画」においてどのようなルール、ゲームバランス、報酬、などを設定しているかの先行研究がなされていないか、していてもそれらのルールや設定がどのような機能を持って設定されているのか理解していないか、です。

どちらにしろこのゲーム設定の詰めの甘さが回り回って視聴者及びファンの戸惑いを生む要因になっていると考えられます。

 


分析していきましょう。
今回ゲーム性に関してざっくり2本立てです。

 

・選択肢の有無
・報酬の有無

 


この2つの側面からこのゲームがどうだったのか、それが動画にどう反映されているかを考えていきます。


選択肢がないゲーム

 


アナログゲームのゲーム性というものを考える際、重要な要素として

 

「プレイヤーに選択肢があること」

 

があります。


それによって勝敗や報酬、展開などが左右され、その選択の決定権はプレイヤーにあります。


ジャンケンでいうと「グー・チョキ・パーのどれを出すか」、あっち向いてホイならジャンケンに加えて「どちらを向く/指すか」、ダンスしりとりなら「どんなダンスをするか」「難易度の低いダンスで次に繋げるのか、難易度の高いダンスで次に仕掛けるのか」、鬼ごっこなら「どこに向かってどう動くか」などですかね。

 

それによって

 

・プレイヤーが能動的に、主体性を持って楽しめる
・プレイヤーによって展開が変わり、個性が出る
・戦略性がある、駆け引きが楽しめる

 

などの面白さに繋がります。

 

ではプレイヤーに選択肢がないゲームは?

 

・「やらされてる感」が出る
・どのプレイヤーがやっても同じ展開になり、個性が出ない
・戦略性がなく、作戦や駆け引きもない

 

ということになります。

 

ハイクオリティなビジュアルがメインだったり、ノベルゲームなど、ゲームの仕組みそのものがメインではない場合はまた違うでしょう。が、アナログゲームで「プレイヤーに選択肢がある」ことはとても重要です

 

さて、「氷の中のボールを取り出せ」対決において、プレイヤーに選択肢はあったでしょうか。

 

無い。

 


マジで一個もない。嘘だろ。
本当に無い。選択できる部分がない。

 

特にネックなのは「氷を溶かすのに使えるのは己の体のみ」ではないでしょうか。「ボールを取り出せ」と言いながら、上記ルール以外にもなぜか「氷を倒して破壊することはアウト」という謎の規定があり(ならそもそも氷を固定しておけよという話ですが)、

 

そしてボールを取り出す方法は“溶かす”一択とされます。

 

選択肢がない。
多分回し蹴りで砕くとかもダメだし(まず怪我しそうだしな…)

 

そして使えるのは「己の体のみ」。氷を溶かすために『人体』でできることは

 

・体温で溶かす
・氷より硬い部位で削る

 

しかない。
そして氷より硬い人体の部位は「歯」か「爪」しかありません。衛生面や、ボールへの最短距離が平面からであることを考えると歯は無理。

となると削るなら爪一択、になります。

 

 

まあつまり、とにかくメンバーが脱いだり、氷に素肌を晒してひっついて冷たい寒いと騒ぐ画面が撮りたかったんだろうな…としか…(ドッキリもこれでは?)

 

 

つまり、戦略性とかは無駄な要素だったんだろうな、という話です。撮りたい絵があり、そのために無理やり「対決ゲームっぽいもの」を捻り出した、というのが実際のところなのかなと。


しかしそれだけでここまで徹底してどうにもならないゲームができるとも思えません。ここまで全部選択肢を排除しているのが全て意図的なら流石に偏執的と言える。だからいくらかは「偶然そうなってしまった」んだろうと思います。
というかそう思わせてくれ。

 

えーとつまり、撮りたい画のために、ゲーム性を打ち捨てたゲームをやらせた結果、しかしそのために動画の面白さや魅力などが結果的に犠牲になってしまったのではないか。


選択肢の無さは随所にあります。

 

・どんなチーム分けにするか、などを考える余地がない
(メンバーの個性や得意なことによって有利不利が予測されるなど、チームによって展開が変わるだろうと予測できる要素がないため)

 

・どちらの氷を選ぶか、などを考える余地がない
(氷の置いてある環境、氷のサイズ、形、入ってるボールもボールの位置も同じ
=選ぶ必要がない
=チームの戦略や個性も出ない)

 

ミニゲームに参加するか否かの選択の余地がない
(ミニゲームもお互いがいなければ成立しないゲーム(ジャンケンなど)を設定されており、またやらないと負け確定レベルに差がつくのが自明なため)
ちなみにミニゲームの時点で矢花くんがゲームバランスのクソさを突っ込んでいます。えらい。もっと言っていい。この客観性をもっと前面に出してもよかったかもしれませんがテロップすら拾ってません。この野郎(モンペ仕草

 

・どこから溶かすかの選択肢がない
(氷のサイズ、形、入ってるボールもボールの位置も同じ
=「ボールまでの最短距離」がどちらの氷でも同じ
=戦略性がない
=個性が出ない)

 

ミニゲームで手に入るアイテムが選べない
(数種類から選ぶのではなく、決まったアイテムが与えられるのみ。またミニゲームが始まるまでアイテムが何か明かされない。
=戦略性がない
=個性が出ない)

 

あとそうですね…


・プレイヤーがルールを追加するなどの発展性がない

プレイヤーがゲームにおいて「じゃあ○○縛りにしようよ!」とか「こういうルールにした方が面白くない?」みたいなことをやれる余地がないというか、起こってない。


YouTubeのオリジナルゲームだと割とこれが面白い展開を作ることがあります。個性もでます。
しかしそれも今回のゲームにおいては…うーん…
「150kgの氷柱」「おそらく企業用の冷蔵倉庫内」「ドッキリの後」あたりが結構ネックで、氷柱を作る前ならともかく、すでにボールin150kg氷柱がある状態では難しそうです。
そして場所が場所なので「これ使ってもいい?」「あれ使ってもいい?」みたいな交渉もし辛そうではあるかな…。

 

「じゃあスタッフにジャンケンで勝てたらアイテム頂戴!」とかの交渉はできたかもだけど、それが受け入れられたかは微妙そう(撮りたいのはゲームの面白さより、寒い冷たいと叫ぶメンバーそのものであるっぽい)な印象なのもこう…ドッキリの後の理不尽展開が欲しいだけっぽいのがあからさまだとメンバーが舵取りをスタッフから奪うにはスタッフ側の柔軟性と信頼関係が…どうなのかなって…

 

「選択肢、ない?没交渉?スタッフのいうことは絶対?」みたいな「メンバーが従わされてる」っぽさをより感じさせてしまうのはここもあると思う。

 

また、例えば足で踏む巨大ピアノでの対決企画の時、最後に1対5でやったりしましたけど、あれは「それでも“いい勝負“になる可能性がある」と思えるから成り立っていた、というのもあります。

ただでさえ達成困難な氷柱企画でやったらただのイジメです。

と言うか最終的にメンバー全員でやっと達成したので、そもそも対決自体成り立ってたのかも怪しくなってくる。

 

そういう意味でもゲームバランスの悪さは誰が見ても明白で、それがさらに理不尽さを強調してしまっているんですね。

やれるとしたらご褒美の交渉くらい?「わかったつまりボールを取り出したら温泉ロケのご褒美ですね?ですよね???OK」みたいなやつ。まあ、無かったので、「できなかった」か「あってもカットされた」のどちらかであり、観る側は感知のしようがありません。


あと
・相手チームを妨害する、邪魔をするという選択肢がない

もかな。


ギリギリ克樹くんが相手チームのドライヤーから温風奪ったりしてましたがそれくらいかな?つかこの動画わりとメンバーが頑張っておもろいことが起きてるのに全然テロップとかで拾われないのももったいないんですよね…

妨害以外にも、例えば「ズルをしやすい」とかあと面白いことしたり脱線しやすいゲーム、企画、というのもあって、それはそれとして企画としては時にすごく面白いものになる。彼らの真面目さ(この企画においては“従順さ”に近い印象になってしまいましたが…)とステージの自由度の低さ、ゲーム性の低さ故に、ズルとかをする余白が無かった…と言うか。

 

「ズルをして負けても、まあ楽しかったからいいか!」

 

をするにも、それなりに「ゲーム自体の楽しさ、魅力、面白さ」他を、しっかり積んでおく必要があるんですよね。

ゲーム性を(おそらく)打ち捨てている時点で、それが望めなくなってしまった。

なぜならゲーム自体は別に面白く無い、というか「徹底して面白くならないよう設計されている」レベルだからです。


そして、前述の通り

 

・どうやってボールを取り出すかの選択肢がない
(溶かす→素肌の体温で、削る→爪で、しか選択肢がない)

 

かろうじてミニゲーム内のジャンケンとあっち向いてホイがありますが、これらは単体でゲームとして成り立っているので当たり前です。
サイコロは運ゲーですので選択肢はありません。展開のランダム性に多少寄与したくらいですが、後述しますが報酬設定がクソなので結局無意味になっている。


だから企画内におけるメンバーの選択肢があるとすれば…「ゲームの放棄」「ルールの改定」をとりあえず外しておくとしたら、「ミニゲームを重く捉え、そちらに注力する」だったのかなーとかは思いますが…
あのミニゲームがどれくらいの頻度であったのか、かつ、「何分おきに」とか「ここまで溶かしたら」みたいな事前に開示される、見通しのある出し方だったのかそうで無かったのかも、見てる側としてはわからないんですよね…。

 

 

さて、ここで「選択肢がないゲーム」がどういうものかを振り返りましょう。

 

・「やらされてる感」が出る
・どのプレイヤーがやっても同じ展開になり、個性が出ない
・戦略性がない

 

「メンバーがやりたくないことを、スタッフに無理やりやらされているのでは?」

 

動画を見てそんな印象を持ったファン・視聴者が多かった理由の一つが、この「選択肢の無さ」だったのではないでしょうか。

 

つか、「理不尽な目に合うメンバー」という図を撮ろうとするあまり、自動的に「スタッフの横暴さ」と「メンバーの従順さ」が際立ってしまったと言うか。


そしてそういう構図を見た時にファンがどう思うかっていう…せめて面白ければ良かったけど編集と構成がクソ過ぎて全然笑えないんだよな…

 


もっと言うと「ゲームとしては崩壊しきったこの内容で“対決ゲーム”と言い張るスタッフ」、本気でやってるならだいぶ厳しいものがあると言うか頭を抱えるしかなくなるので「ギャグであえてやってるんだ」「あえてそういう画を撮るためにやってるんだ」と思わせて欲しい…と言うのもまた個人的な本音ではあるのですが…

 


プレイヤーに選択肢がないということは、プレイヤーに決定権がないということです。決定権がないということは「何かが起こったら自分のせい」と思えないということでもあり、つまり主体性を奪われているということで、それはゲームの楽しさとは遠いものです。
「負けても勝っても、それはプレイヤーのアクションとはさほど関係がない」ということだからです。
ゲーム以外の部分で楽しさを演出するしかありません。(で、じゃあ演出にそんだけ力入れていたかと言うと…と言う話はまた後日します)

 

そっからさらに「プレイヤーに決定権はないけど、何が起こってもそれはプレイヤーのせいね」となればそれは、シンプルに理不尽、ということになってしまいます。

 

理不尽なゲーム。
を、楽しい企画、楽しい動画、に思ってもらうの、難易度が相当…相当高い…とは思います…。

 

何度も言いますがおそらくこの「やらされてる感」はわざと出してるんだろうなとは思うんですよね。「罰ゲームみたいな企画をやらされているメンバー」を、面白いコンテンツとして視聴者に提供しようとした、というか。
「それが面白い」という考えのもとやってるっぽいな〜とは思うんですよドッキリもそうだけど。イヤホンつけるとわかりますが随所にスタッフの爆笑声が入っています。多分現場で見てる分には笑えたんでしょう。

で、ゲームとして成立してないゲームをやらされるメンバー、理不尽で面白いでしょ、と言う動画にしようとした。
多分ファンもこれまでわりと「罰ゲームみたいな企画やらされる侍www」みたいな反応してきたと思うし。

 

ただ、“理不尽さ“と“面白さ“は別に比例しねえよ?という話であってですね…。

 

何より「その場では笑えた」ものをカメラ通したからってそんまま画面の向こうに伝わると思ってるならシンプルに誤りです。爆笑トーク一つにも伝えるスキルというものが必要なのに、動画制作なんて何をか言わんやです。

面白いものを面白いまま画面の向こうに伝えるの、難しいことなんですよ。

広く多くの人に届けたいなら、なおさら。

 

 

つか「戦略性がないゲーム」、やる側もそうですが観る側もどう楽しんだらいいのか、迷うよね…。
また、ゲームとしてシンプルにおもんないってことは、視聴している側が

 

「自分がプレイヤーだったらどうするかな?」

 

と考える楽しみも、無いってことです。

これでファン以外の視聴者も楽しませよう!と言うのは、ハードルが高いことに挑戦しているな…と思います。無理では?(澄んだ瞳)

 

 


次。

 


報酬のバランス


「このゲームは彼らに何をさせたかったのか」で一番頭を抱えたのがここです。
このゲームにおける「報酬」はなんだったのか。

 

ゲームバランスを考える際に、

「プレイヤーのかけた労力」

「結果得られた報酬」

がある程度釣り合っていることで、公平性を担保したり、プレイヤーへの過剰な(不必要な)ストレスを回避し、それが「ゲームの面白さ」にもつながります。

 

大変な労力をかけたのに報酬が少なすぎたり、同じ労力なのにあるときは過大な報酬、あるときは過小な報酬…とバラバラだったり、大したことしてないのに報酬ばかりすぐ貯まったり…と言うのは、公平性を欠いたり、プレイヤーや、見ている人に必要以上のストレスを与えます。

特に、難易度の高い要求、困難な課題をクリアしたのに、報酬が低かったり、報酬自体がなかったり、下手すると「クリアしたことで罰ゲームを受けるハメになる」などすれば、それはとてつもない「理不尽さ」の演出になってしまいます。

 

ゲームによってもこのバランスの取り方は難しいものから簡単なものまであるかと思いますが、シンプルなアナログゲームにおいてはそこまで困難なことでもありません。


いやまあ、この企画においては「ゲームそのものが成立している必要はなかった」んだろう、と言うのは先に語りましたが、ゲームの内容から企画や動画そのものの問題点を考えるのが目的でもあるのでこのまま行きます。


巨大氷系の企画は、動画内でも言われてましたがバラエティではわりとあるあるです。
ということで比較のためにもYouTubeだけですがざっと検索してみました。

すると、大きく二つの種類の報酬に分けられました。

 

・「氷の中に閉じ込められているもの」が報酬
→アイス、ジュース、ブランドものアイテム、1万円〜100万円の現金、プレイヤーの大事なもの など

「氷の中に閉じ込められたもの」を「ご褒美」つまり報酬としてある程度ふさわしいものが設定されているパターン。
万札凍らせて取り出せたらお金ゲット!とかブランド品とか、可愛いところでアイスとか。

取り出せたらそれはあなたのものですよ!と言う目の前に人参方式。

と言うか、そうじゃなきゃ見てる方も何を応援すりゃいいのかわかりません。

 

・「氷がある環境そのもの、または触れたり削ったり溶かしたりすることそのもの」が報酬
→炎天下など暑い環境において涼をとる、チェンソーなどで巨大氷を破壊する爽快感を得る、かき氷にして食べる、熱した鉄球で溶かすなどの実験・検証系、巨大氷という非日常アイテムへのワクワク など

氷を破壊することそのものでスカッとする!系の、でかいドリルやチェンソーを使う企画だと、報酬は「破壊行為そのもの」です。また真夏に暑いので涼もう!とかなら報酬は「暑い中涼しい気持ちになる」ことそのものです。
なので何か凍らせて閉じ込めるものはご褒美度が低くても良い。ですが今回の侍の氷柱対決はそうではありません。

あとさらに凝ったものだと、「中身のわからないカプセルが複数、巨大氷に閉じ込められており、取り出せたらその中のもの、または中のメモに書いてあるものが得られる(または、書いてある行為をしなければならない)」みたいなのもありました。
これは選択肢も広がるし、何が出てくるかによって展開も変わりそうで、面白そうですよね。
「透明で凍った中身が見える固形」という特質をよく生かしつつ、氷の冷たさはあくまでサブ性質なので罰ゲーム感も薄め。

 


はい、皆さんもうお分かりかと思いますが

「氷の中のボールを取り出せ」対決の報酬は、上記の例のどちらでもありません。

 


氷の中から取り出せと言われているのはただのテニスボールで、メンバーの中にボールがあると大喜びで庭駆け回るボール狂いがいるわけでもありませんので、取り出したところでなんの報酬にもなっていません。
手に入れる報酬としての価値はほぼありません。マジでなんでテニスボールだったのか一ミリもわからない。テニス経験者とかいたっけ?コメントのきっかけにもならん。

 

では氷を溶かす、氷がある環境自体が報酬か?というとそんなこともありません。
ただでさえ寒い冷蔵庫の中で、薄着の人間に氷柱を道具なしでどうこうするという行為、それ自体はなんの報酬にもなっていません。

 

巨大氷そのものへのワクワクを演出したいならもっと撮り方とか…舞台設定とか…演出とか…必要なので…。
というか多分そこのワクワクを視聴者に提供する気も特になかったと思う。

 

何度も言いますがやりたいのは多分そこじゃなかった。
という事がこれらの事実からもわかります。
あってもワクワクというより、ドキドキハラハラ系。

 

一応ミニゲームによって得られる報酬と、それによって展開していく状況を作ることで対決ゲームとしてバランスとってたんだと思います。
が、それなら「使っていいのは己の体のみ」というルールがものすごい勢いで足を引っ張ってんだよな。全てにおいても(これのせいでゲームにおける選択肢も消えてるので)。


そして、原則ルールだけを見た時、そもそもこのゲームは達成が不可能です。

人体だけを使って、あの氷柱からボールを取り出すには途方もない時間が必要だったでしょうし、それだけの間カメラを回していられるほどメンバーもスタッフも暇ではありません。

 

つまり、「そもそも報酬が手に入らない」よう設計されているゲームなんですよ。

とってつけたようなミニゲームに勝つしか達成及び勝利への筋道がない

 

 

クソゲー」以外の何と言えばいいんだこんなの。

ということになります。

 

 

これもまた理不尽さ…「理不尽を要求するスタッフと、従順なメンバー」という構図を演出及び強化しています。
「理不尽な目に合うメンバー、面白いでしょ」という演出だったのだろう、という私の推測が当たっているのなら、これはスタッフの狙い通り…だったんだと思う。


しかし何度も言いますが、理不尽さと面白さは別に比例しません。


理不尽さを笑いに変換するにしても、おそらく諸々技術が追いついてないし、ファンからのスタッフの信頼(この信頼とは、このスタッフならちゃんとメンバーへのフォローがあっただろうとか、視聴者に見えてないところでちゃんと安全面のことも考えてただろう、とか、この後あったかいところでケアしてくれただろう、理不尽な目に合わせ体を張らせた分クオリティの高い動画にしてくれるだろう、という“信頼”です)も、正直微妙だったんじゃねーかなと思うし(そこの信頼がちゃんとあればあんなにみんな不安がるコメント残しません)。

 

と言うかそんなもの視聴者が知り得ないんだからポジティブに忖度しなければならないのがおかしいです。動画内でフォローを入れておけ、と言う話になります。


ネットでバズってる理不尽系ハプニング動画、みたいなのは「瞬間的に始まって終わるテンポ感」が大事なので、20分近くただ理不尽な目に合う動画はちゃんと構成なり何なり考えないと割としんどい…という人もそりゃ出てきます。

ファン以外なら余計何を楽しめばいいねんな。

 


えーと視聴者にとってどうかという話が出てきたのでこのまま続けよう、ここまで「ゲームの報酬に関してこうなってる」という話をしました。

 

では、視聴者にとってはどうだったでしょう。

ボールゲットは報酬になりませんし、他に報酬らしいものはありません。ということは「勝ったところでだからそれがなんなんだ?」というゲームになってしまっていたわけです。

 

それ自体は別にいい。Jr.チャンネルの対決ゲームの半分くらいは多分そうです。

 

寝巻き企画のランキング当てるゲームとかだって、勝ったからってご褒美があるとか罰ゲーム回避とかそんなことはありませんでした(なのにきちんと企画として面白いんですよ。あれ雪上人狼と企画者同じじゃないかと個人的に睨んでるんですけどどう思う?)(脱線)。

 

ただ、「それをもとにあれこれ語ったり、メンバーの個性が出たり、エピソードトークがたくさん出てくる」という面白さ、どのメンバーのものなのか推測する楽しさや作戦・駆け引きといいものはあり、その「楽しさ」が「ゲームの報酬」「観ている人にとっての報酬」として機能していました。

 

えーと、つまり氷柱企画はゲームとしての報酬の設定がされてなかった、必然、視聴者は「どちらが勝つか」ということより、

「氷が溶けるまでのその過程において、ドラマが生まれたり、彼らの個性が出たり、駆け引きが起きたり、面白い事が起きること」

を期待します。
それこそが「視聴者にとっての動画を見る報酬」にもなるからです。

しかし、その過程には「選択肢」が徹底的に排除されていました。
ジャンケンとあっち向いてホイくらいしかねえ。


つまり、「ゲームの展開や構造によって見られる個性や素質、それにより生まれるドラマ」は排除されていました。


選択肢が無いゲームとはどうなるのかを再度見てみましょう。

 

・「やらされてる感」が出る
・どのプレイヤーがやっても同じ展開になり、個性が出ない
・戦略性がない


「氷の中のボールを取り出せ」というゲームが柱となっているはずなのに、ゲームをやっている間彼らが、個性を発揮したり、主体的な選択ができたり、それによって楽しんだり、またそういうところが観れる(=視聴者にとっての報酬が得られる)のは、

「ゲーム以外の場面」

でしかあり得ない。
という構造になってしまっている。

 


言うたらこう…企画の柱の中がスッカスカの状態で、その周りをメンバーたちが外から支えていることで、かろうじて企画として成立しているというか…

だから動画自体もそうなってしまってるんじゃないでしょうか。

 


動画や企画は面白いかと言われたらそうではない(というか楽しめない)けれど、メンバーたちが頑張って盛り上げているから、そこだけは楽しめないことはない…と言う。

 


で、それってつまり、

だいぶ限界レベルのファン向け、内輪向け動画

になってしまってますよね…。

 


しかして、なるほどでは内輪向け・ファン向け動画として割り切って楽しむために提供されているのかな(ファン向け=動画のクオリティが多少アレでも良いもの、とするのは釈然としませんが、あくまで無料コンテンツであることを考えればそう言う割り切りもアリといえばありです。折角のYoutubeでそんなもったいないことやるなよとは思うが…)?
…と思うには、それはそれで疑問点が多い動画なのも事実です。


なぜなら動画全体を見たら彼らは「困難な課題を達成したが報酬がなく、さらに罰ゲーム(私服凍らせ)を受けた」と言う構成になっています。
「報酬」という側面から考えると、だいぶ、だいぶ理不尽な展開です。マイナスからマイナスのまま終わっとる。


でな、「推しのメンバーが理不尽な目に遭って嬉しい」というファン、それが報酬になるファン、そうおらんと思うんですよね…。お芝居の役柄とかならともかくさ…。


そこが楽しめない場合、この動画において「この動画を見て得られる報酬」って、「メンバーの顔や動いてる姿が見れる」以外、無いわけです。つか下手するとメンバーが理不尽な目にあうところを見て宇宙猫になるしかないわけで、まあそうなると視聴者の報酬はマイナスに振れてしまう。


ではファンではない視聴者にとっては面白かったのか、「体を張って理不尽な目に合う誰かと、それによって起きる笑い」として届くか?というと…どうなんだろうね…?

動画のクオリティ自体がアレなのを差し置いても、ちょっとわからない…。

 

そもそも「巨大氷企画」というジャンルとしてYouTube見た時に、「それ自体が理不尽な罰ゲーム企画」であるパターン自体、そんなに多くないんですよ。
上記の通り「凍らされた報酬を得る」か「氷自体が報酬」の大体どちらかなので。

つまり、「巨大氷企画」的なものを期待して動画開いた非ファン・非オタにとっても「あれ?」と肩透かしくらう可能性のが高くない?
と思うんですけど…どうなんでしょう?

 


もちろんファン・外部問わず動画を見て「体張っててすごい」とか「理不尽に対し体張ってて笑える」という印象がを与えることも期待できます。

 

というか、制作側が狙ってたのは、おそらくこちらなのだろうと思います。

 

しかし色々な要素が積み上がった結果、そこまで狙い通りに行かなかったということなのだろうと。
そもそも動画のクオリティがやばいと言うのは構成と演出の記事でしたいと思います。いつになるんだ。すみません本当に…

 


あと暗い緑色の背景の閉鎖空間に青ジャージで寒い企画って、それだけで顔色肌色が最悪に映るコンボなので「かわいい顔面さえ見れればオールオッケー」タイプのオタクもいつも通り楽しめたかと言うとどうなんだろうなと言う気はしてます。ただでさえ一個前の企画は半分以上アイマスクしてたしなぁ…。


ーーーー

 

というわけで以上選択肢と報酬という2つの要素から、ゲームの問題点とその意図について書いてきました。

 

「罰ゲームみたいなことばっかしてる侍www」みたいな楽しみ方にしたって、その罰ゲームみたいな企画の中でもここまで全員等しく選択肢も報酬もなく理不尽一辺倒なのそうそうなかったんじゃないかな…。

罰ゲームドリンクとか激辛系とかの企画にしたって、

 

・まずどれを選ぶかの選択肢
・メンバー同士の駆け引きや個性の表出
・他メンバーに強烈な罰を与えようとした結果自分もその罰を喰らうなどの伏線回収的ドラマ
・うまくやれば罰回避成功などのカタルシス

 

とか、色々ちゃんとあったわけですし…。
そしてそれが埋もれたり、流れたりしないで、それなりに際立つ演出や構成をしていたんじゃないでしょうか。

 

罰ゲーム企画も罰ゲームを受けるメンバーと回避したメンバーがいたりして「全員等しく理不尽な目に遭う」わけではなかったりもしました。

 

というか罰ゲーム企画の場合「罰ゲームを受けるメンバーの個人フィーチャー企画」としての側面もあるので、そういう面ではプラス面もあったんですよね。例えば矢花ドッキリが矢花担にも比較的受け入れられてるのは矢花くんの性質もありますが、結果的に矢花くんフィーチャー企画になるからでもあるでしょう。
全員いっぺんに等しく理不尽な目に遭う場合、その辺のプラス面は消えます。

 

SixTONES京本大我が運動音痴ネタで一本動画撮ってましたが、あれも「京本大我一人をメインに据えた企画」としての側面がありました(し、そういうネガティブ面を見せる企画において彼が「可哀想」にならない構成でした。これは彼らのバラエティ経験値やバランス感覚、スタッフの力量も大いに関係していますが)

 

あとこれは構造の話になりますが、2週連続で通してみるとドッキリinドッキリみたいな構造してるせいでカタルシスも死んでる。


まあ、だから、罰ゲーム企画なんですよね…この企画…。
というか対決ゲームと名前つけただけの、シンプル罰っていうか…。

 

 

カタルシスの話をここからしようと思ったけど構成の記事でやった方が良さそうなのでとりあえずこの辺で切り上げます。

 

ファンはアイドルがいてさえくれれば大抵のことは楽しめるスキルを持っていますがそれにだって限界はあるし、おもんないにしてもせめてファン向けと割り切ってりゃいいのですがそうでもないので余計「一体何がしたいんだ…?」感がすごい。

まあ多分、スタッフは本気でこれが面白いと思って制作してるんですよね。スタッフの爆笑声が結構入ってるし…。
わからん、撮影現場では笑えたかも知れんが編集さんは一ミリも笑えてなかったかもしれん。

見ているだけの私たちに感知できる事ではありません。

どちらにしろ撮ってて、または現場にいて面白いと思ったものを、動画見てる人にも同じようにまたはさらに面白く感じてもらえるよう伝えるのには、それなりの技術が要ります。何度も言いますが。
と言う話は編集とか構成の記事の時に詳しくします。

 


ただ今回は、この企画におけるゲームの作りが視聴者の「いやこれの何がおもろいねんな」と言う反応を引き出すに値する、と自分が思った理由を、ゲームの内容から解体していきました。

もういっそ対決とかゲームとか半端なこと名乗らないで「罰ゲーム動画」つったら?という気持ちになります。多分本当に撮りたいの、それだろうし…。

 

ただ問題はそれだけではなく、


氷柱企画が実質「罰ゲーム動画」だとしても、またそれを「面白いコンテンツ」として世に提供したつもりだったとしても、

視聴者の一部層または多くの層が「そうは受け取れなかった」ことであり、

その理由はおそらく

 

「面白いと思ったものを面白いと感じてもらうための技術、または経験、センスなどが足りなかった」から


ではないか。

 

というふうに考えました。

 

 


というわけで次こそは構成とか演出の話ができたらいいなと思います。ドッキリの構造と構成の話を分けるかどうか迷っている…

その前にうるおい祭り(とかあと雪上人狼とか)について超超超褒め倒す記事も書きたいと思います。ネガティブな記事ばっかりなのも申し訳ないし、どこが良かったのかの言語化もしたいので…てかみんなで褒め倒し記事書きませんか(私が読みたいだけ)。どうぞよろしくお願いします。

 

 

こんな長い記事を読んでくださって、本当にありがとうございました。

何かしらの参考になったなら幸いです。